CDが売れないってハナシ1。

CDの売り上げは98年をピークに年々減少している*1
その原因として、着うた・動画サイトの普及や値段に対する不満、そもそもCDという媒体が古いんじゃないかという問題などがよく挙げられる。
一方で、ギターの売り上げは98年以降も増加しているし、音楽関係の専門学校を志望する学生も多いらしい。
また夏フェスの動員数に注目してみると08年の場合、洋楽系(サマソニフジロック)は若干の減少はあるものの、邦楽系(RIJ・RSR)は増加傾向にある*2
こういったことから、単純に音楽業界が衰退したというのではなくて、
「聴く」人が「演奏する」もしくはそれを「観る」人へ変化していったと言えるだろう。


個人的に少し面白いなあと思ったのが夏フェス前の「予習」だ。
これは夏フェスに行く際に、それまで自分が聞いたことの無かったバンドの音源を、フェスで盛り上がるためにあらかじめ聞いておくという行為で
最近ではCDショップやレンタル店が夏フェスに向けた「予習コーナー」を開くことも珍しくない*3
僕は別にそれを否定するつもりはないし、きっかけなんて何でもいいジャンと思っているのでむしろ進めたいとは思う一方で
この時のCDの役割が「ライヴのための勉強道具」になり下がってしまっているところに疑問を持ちたいと思う。
と言うのも、僕が出不精インドア人間だからライヴに行くのは勿論好きなのだけれど
それ以上にイヤホンで音楽を聴くことが大好きということもあって
この「ライヴ>CD」という図式がどうにもピンと来ないからだ。


その図式について、雑誌Remixの08年4月号のオウテカのインタビューでショーンは、
最近のインディーズバンドはライヴをやることに重きを置いている、とした上で
「同じメディアで同じ方法でプロモーションする流れ。それは単純で、ライヴをやればやるほど儲かるという考えなんだ」と言っている。


この「ライヴ>CD」な傾向が進んでいくとどうなるか。僕が考えるのはこうだ。
CDが売れなくなってしまうと、バンドはライヴによって収入を得ようとする。
→またリスナーもライヴ志向になっているので、その傾向は加速していく。
→それがさらにCDの収益減少へと繋がってしまう。ライヴ前に聴く「予習のためのCD」は突き詰めれば、違法合法を問わないネットのそれで済んでしまうから。
→結果としてCDが売れなくなり、さらにライヴによる収入に頼らざるを得ない、というじり貧な状況へ。


どのくらいのレベルでこうなっていくのかはわからないけれど
実際にインディーズバンドは「ライヴをすることで飯を食う事が出来る」ようになっている。
しかし逆を言えばそれは「ライヴをしなければ飯を食えない」ということでもある。
このまま過度なライヴ志向への変化が進んでしまえば、最終的にはリスナーの手で好きなバンドの首を絞めてしまう可能性だってあるだろう。
ライヴは楽しいし、あの時の高揚は他では感じられないかもしれないが、それと同じくらいCDだって素晴らしい、と僕は強く思っている。
過度なライヴ志向を止める為に、ライヴに行くの止めようぜ!と言うのはやっぱり不可能なので、
同じくらいCDも買っていこうじゃないか、と僕は言いたい。