宮部みゆき/ICO

ICO  -霧の城-

ICO -霧の城-

図書館で借りて読む。
ノベライズ本というと、どうしても原作より劣っている場合が多くて
あんまり好きじゃなかったんだけれど、これはとても良かった。
原作のゲームをニコニコ動画での実況プレイで見て不覚にも感動してしまって
昨夜、眠れなくて読んでいたら深夜の雰囲気もあってこれまた不覚にもちょっとだけ泣いてしまった。




原作はほとんどセリフが無くて、圧倒的な映像美とその世界観だけですべてを表現しているゲームなんだけれど
この小説は、そのスキマを宮部みゆきが上手い具合に得意の文体で埋めている、という感じ。
それをどう捉えるかは読む人によるんだろうけれど、割と僕はすんなり受け入れられた。
というか、あの情報量だけでここまで分厚い本を書き上げたのにひとまず驚いた。




ブレイブストーリー」もそうだったと思うんだけれど、宮部みゆきのファンタジー作品って
「善VS悪」という構図よりも、ひとつの出来事に対して別の角度から見た視点の対立という構図というイメージがある。
小説だから主人公の視点で物語は進むのだけれど、反対側の視点が一方的に悪いというだけじゃないと言う感じ。
絶対的な善・悪は存在しないから、自分が信じる道を選択する。少年は成長する。




しかしまあ、小説を読み終えた後のけだるさとか、それを誰かと共有したいという気持ちは、どうにかならないもんかね。
結局、眠れずにモヤモヤが残ったままです。